あの「バズ部」が、今どうなっているか知っているだろうか?

一世を風靡したバス部旋風

f:id:kanedama:20170906215417p:plain

ブログ歴3年以上のブロガーなら、「バズ部」を知らないことはないだろう。

もう2年以上前だが、バス部の出す記事には、速攻で数百のはてブがたかり、あっと言う間にはてなブックマークのページにトップで掲載されていた。

バス部と言うのはルーシーという会社が運営するコンテンツマーケティング専門のサイトだ。

「バス部」の生い立ちについては、化粧品会社のサイトから引っ越してきたとか、どこかの会社のキャンペーンに動線を張っていたとか、胡散臭い噂を流すブロガーもいたが、個人的にわたしはバス部の記事は好きだった。

今でも新しくサイトを立ち上げる時には、WordPressのプラグインはバス部仕様をまねている。

バス部の姿勢は、それまでのSEOで語られていたバックリンクやキーワードの占有率など、一切無視したコンテンツ重視のスタイルだった。

「リンクなど、クローラーを導くために1、2本あれば十分」

と言い放ち、

「ユーザーの役に立つことだけに注視して記事を書く」

という思想に徹していた。

今では当たり前のように言われることだが、まだブラックハットが生き残っていた当時は斬新に感じられた。

実際、

 「自分が売り込みたいこと」

 「単なる独り言」

 「わたしキレイでしょ!」

的なブログが氾濫している中で、ユーザーの役に立つことを考えるというのは、ある意味、自分の視点ではなく、第三者の視点で記事を見る必要があり、感覚が慣れるまでには苦労したものだった。

しかし、それができたのは、バス部が自信を持ってリリースするブログ記事に魅せられたからだ。

実際、バス部がサポートした観葉植物店はあらゆるキーワードで1位になっており、こういったエビデンスはバス部の実力を知らしめるには十分な力を持っていた。

コンテンツマーケティングという言葉の草分け的存在だったと今でも思う。

今でもよく見かけるブログの締めに「まとめ」の節を設けるスタイルもバス部が走りだったように思える。

バス部が消えたあのとき

記事をリリースするにしたがって、バス部の人気はうなぎのぼりに高まり、そして新興宗教とも言えるほど熱が高まった時あのXeoryがリリースされたのだ。

f:id:kanedama:20170906215947p:plain

バズ部オリジナルのWordPressテーマ。

それまでブログの世界ではStingerとSimplicityの人気が高かったが、みんなこぞってXeoryに変えたせいで、一時ブログの世界はバス部クローンであふれかえっていた。

だがそれも1カ月と続かなかった。

理由は単純だ。わたしもそうだが、Xeoryに変えた途端、検索順位は下がり、アクセス数が減ってしまったのだ。

そしてほとんどのブロガーは元のテーマに着替えてしまった。

リリース当時、バス部は以降、2カ月おきにWordPressのテーマをリリースするといっていたが、そのブログサイトは貝になってしまった。

バス部のサイトから新しい記事がリリースされることは無くなり、当初は様々な噂を呼んだが、時がたつにつれて、バス部自体が忘れられた存在として消えていった。

Xeoryの失敗がバス部を葬り去った。

だれもがそう思ったに違いない。わたしもそうだった。

妙な復活の仕方をしたバス部

2、3カ月前だったと思う。久しぶりにバス部のメルマガが届いていた。開けてみると、あるセキュリティーソフト会社がバス部の指導で桁違いのアクセス数を叩き出しているという動画だった。このセキュリティーソフト会社は外資系であるため、動画で講演していたのは日本法人の社長(?)だが、そのアクセス数と滞在時間に本国の役員が

腰を抜かすほど驚いていることを語っていた。

このとき、わたしが思ったのは

「ビッグクライアントを数多くつかんだから、もう一般向けはやめたというのが表舞台で見かけなくなった理由だったのか」

という、バス部の成功した姿だった。

だが、それは裏切られた。

しばらくして届いたメルマガは、バス部主催のセミナーの告知だった。

一人11万円、定員10名。

「高いと思うか、安いと思うかあなた次第」的なことが書いてあったが、わたしの印象は、バス部はここまで堕ちていたのか、だった。

11万円x10名=110万円。

こんなちっぽけな商売をするようになっていたと知って、わたしの中のバス部に対するリスペクトは粉微塵に消し飛んだ。

コンテンツマーケティングの雄、バス部。

そう思って抱ていた憧れは、地面に染み込む水のように消えてしまった。

だが、わたしはバス部に感謝している。

バス部のおかげで、わたしはコンテンツマーケティングの腕を磨く機会を得た。

そして今がある。

できることなら、あの強烈なカリスマを帯びたバス部の姿で帰ってきてほしい。

今のような復活の仕方を、少なくともわたしは望まない。

 さぁ、どうだろう?

あなたにとって、バズ部はどんな存在だったのだろうか。

 

「クレジットカードの読み物」が圏外になっているのに愕然とした。Googleへの怒り。

はてなの住人なら知っていると思う。

つい半年ほど前まで「クレジットカード」というビッグキーワードで1位だった「クレジットカードの読み物」というサイトを。

f:id:kanedama:20170906001201j:plain

運営者はただひたすらクレジットカードに関する記事を書き続け、そのアクセス推移を公開していた。

とくにSEO的なテクニックは使わず、ひたすら記事を書き続けている姿に気づいたのは、もう1年以上前だったと思う。

その姿に共感し、多くの人からブクマを集めていたのは「もしかしたら、ブログでもGoogleで1位になれるのかもしれない」という期待と、自分ではとてもできないクオリティーの高い記事のせいだったのだと思う。

そして、ついに1位になった。価格コムを抑えての1位は、無形ライターに衝撃と段違いのモチベーションを与えたに違いない。実際、わたしがそうだった。

そんな運営者が5月にはてなブログから独自ドメインに乗り換えた。

理由は明快ただっだ。

  • いつ閉鎖するかもしれない既成ブログサイトに将来を託せない
  • はてなのドメインパワーが落ちてきた

私自身は、はてなのドメインパワーが落ちたとは思えないが、問答無用でアカウントを凍結する恐怖はFC2で食らったことがあるので、好き勝手に書ける独自ドメインへの移行は正解だと思っていた。

しかし結果は、これだった。

news.cardmics.com

一見、大幅なアクセス数の落ち込みだけのようだが、この時すでに検索順位は1ページ目ギリギリだったと思う。

筆者も書いているが、はてなから独自ドメインに移行した場合、2~3週間で元に戻るというのが通説だったが、順位はどんどん落ちていく一方で、今気が付いたら「圏外」になっている。

筆者はドメインパワーのせいだと結論付けているが、わたしはそうは思っていない。

原因は、Googleがブログの評価を低くしたせいだ。

2月に大騒動を起こした検索順位の変動は、労せずして他人の記事をまとめただけのキュレーションサイトへの対処だといわれていたが、その結果は噂とはかけ離れたものであり、ほとんどのNAVERをはじめとしたキュレーションサイトは今も上位に居座り続けている。

この時何が変わったのか。

それはブログサイトの大幅な順位低下だった。

その後も3月、4月、6月、7月とGoogleのアルゴリズムは更新され、ブログ運営者はアクセス数の低下に悩まされ続けている。

わたしもその一人だ。

ここで、「クレジットカードの読み物」の記事を見てほしい。

調査内容、文章の構成、画像の配置、そしてキャッチーなタイトル。どれひとつとっても非常に完成度が高く、1日に数本アップされていいるが、そのクオリティーの高さは敬意に値する。悔しいが、わたしのブログ記事など勝負にならない。

特に、独自ドメインに移行してアクセス数が激減してからの記事は、復活をかけて必死に品質の高い記事を作っている様が読み取れていた。

そのサイトがどんどん順位を落とし、ついに「圏外」。

Google、おかしくないか?

ユーザーの役に立つ記事を上位にあげるという思想はどこに行ってしまったのだろう。

検索で上位に出てくるのは、大規模サイトばかりになってしまった。

ウエルクの失敗を反省していないのか?

ブロガーのだれもがユーザーに役立つ記事を書けば検索で上位に出られてアクセスを集められると信じて、精いっぱい頑張っているのに、巨大サイトの薄っぺらい、どこにでもあるような短文の記事が上位を占めているのは、とてもじゃないがユーザーのためになっているとは思えない。

特に3月のアルゴリズム更新以降は、ひどすぎる。

ブログに関わらず、いろんなサイトを見ているが、役に立つサイトが軒並み消えてしまった。

Google自身が「Googleの検索順位がベストだとは思っていない。しかし、これからも役立つ記事が上位に来るように改良していくから見も待っていてほしい」というアナウンスを出した。

それって社会的責任を放棄しているのではないだとろうか?

Googleはすでに社会的インフラと化している。

それが「間違っているかもしれないが、当面カンベンして」など許されるはずがない。

検索結果によっては、ビッグキーワードの1位が単なるリンクが張ってあるだけのページにすらなっている。

これは、ネット社会で情報の混乱を起こしているという自覚はないのだろうか?

わたしの想像だが、GoogleはRankBrainというAIの暴走をコントロールできなくなっていると思う。

まだ正常だった3月に戻すべきだ。

間違いは間違いであって、その間違いを白紙に戻して再スタートを切らねば、いつしかGoogleはBringに淘汰される日もくるように思える。

もうひとつGoogleには正すべき間違いがある。

それは記事に対してGoogleが策定したテクニックを用いることを強要している点だ。その最たるものが来るべきMFI。

どれほど優れた記事を書こうが、モバイルフレンドリーでなければ評価を下げる、MFIに対応していなければ評価を下げる。

こんなことは記事の品質とは無関係なことになぜ気が付かないのか。

こざかしいテクニックを取り入れることは、記事の本質とは無関係でしかない。

企業や大規模メディアが外注に作成させている記事より、高品質な記事を目指ざして記事を作り続けていたブロガーの記事の方が格段にユーザーに有益であることはだれもが知っている。

このままでは、良い記事を書くブロガーのモチベーションは下がる一方であり、やがては消えていくだろう。

順位が暴落し、アクセス数の激減で消えつつあるブロガーたちを引き留めるにはもう残された時間はそう長くはない。

本当にユーザーのために役立つ情報とは何なのか?

Googleがその定義を見直すことができる時間はそう長くはないことを認識すべきだろう。

Googleのコンテンツを作り続けてきたブロガーたちが消えてしまう前に。